ヨシコの中国語学習記録

英語上達完全マップの要領で中国語を学習してみる記録

中国でリストラされる話

引っ越し準備辛いす。。分かってたけど、もうね、すぐに漫画読んだり、歌を歌いだしたりするよね。。。あるよね!盆踊りは今日は踊ってない。よしっ!

引っ越しに関しては愚痴も何もなく、とにかく片付けろって話なのでまぁいいとして(いい、とは・・・??)、中国での退職とかクビについて、その辺の法律関連の話も含めて少し書いてみたいと思います。
この手の話、日本の人で知ってる人って多分少ないと思うんだよね。私も10年以上中国で仕事して最近やっとちゃんと理解したぐらいだし。

まぁぶっちゃけると、会社をクビになった。
・・・日本語の「クビ」という言葉の重さよ・・・。(-_-)
中国語では被开除というやつなんだけど。
ものすごい誤解を呼びそうだし、いや誤解とも言い切れないんだけど、あんまりクビという言葉はやっぱ使いたくないよねぇ。「あんた何したの?!」って感じだし。
日本でクビになる人ってよっぽどだよね??普通あんまないよね??
もうちょっと聞こえの良い日本語はないものか。
リストラ???退職勧告??クビより、もしかしたらリストラの方が正しいかもなぁ。
ちなみにこの开除というのは、中国ではめっちゃ普通です。私も一人クビにした事あるし。
せっかくこんな珍しい経験をしたので、リストラ(クビ含む)に関して、多分日本の人が知らないであろう部分をご説明したいと思います!
(どこに需要があるのかは・・・Orz しかもこんなネタ世界に公開ってのもどうかと思うけどなぁ。本当は読者限定記事とかにしたいけど、ハテナってそういう機能ないよね??アメブロなら簡単なのになぁ。)

例えば、去年別業界で开除された友達がいるんだけど、そこの会社では「毎月必ず一人リストラする」というリストラ計画の元に継続的に人員調性をしていて、実際のところは、「辞めたい人が自分から手を挙げてリストラ計画のリストに入れてもらって、リストラされる」という状況だったらしい。
毎月毎月リストラするとか大丈夫なのかと聞いたら、「いつでも辞めたい人は絶対いるんだから、全然問題ない」という回答だった。この時の私は「ふーん」程度で、分かったつもりにはなっていたけど、今思えば全然分かってなかった。なんでそんなにリストに入りたい人がいるのか。
実は中国では、リストラされた人への保護が法律できっちり決まっていて、俗に「n+1」(en jia yiと発音する)と呼ばれている制度がある。これのお陰で皆さん喜んで去っていくのです。
「n」が具体的に何を指しているかというと、その会社で働いた年数。1年なら1、3年半なら3.5。半年単位で計算するらしいので、3年1ヶ月とかだと確か3で、3年7ヶ月だと3.5だったと思う。
後半の「1」は1ヶ月。この意味は、本来なら退職勧告は1ヶ月前に連絡をしないといけないのだけど、中国でのクビは「明日から来なくていい」と突然言われるのが全然普通なので、この1ヶ月分を保証する、という意味らしい。なので、もし「1ヶ月前に退職勧告しなかったじゃないか!」と会社と揉めて、例えば1ヶ月後まで退職を引き伸ばした場合、この「1」は無くなってしまうらしい。
リストラ(クビより響きがいいので、これからリストラと言う事にするw)する場合、会社は基本的にこの「(n+1)×月収」を賠償金としてリストラする社員に支払う義務が法律で義務付けされてのです。
ものすごく簡単に原理を言うなら、月収2万元で5年間その会社で働いた人がリストラされる場合、6×2万で、ほぼ12万元が賠償金として支払われるということ。これがn+1の基本概念。
この話を初めて聞いた時「中国の法律めっちゃいいやん!」と言ったら、「あんた今まで中国を何だと思ってたの。ちゃんと法律がある国ですよ」と呆れられたw 他の外国で働いた事のある中国人は「中国の法律は割と労働者側に立ってるんだよ」とも言っていた。確かにそうだと思う。
基本は単純なんだけど、実際の計算方法はかなり複雑で、どの部分は税込みでどの部分は税抜きで、とか、実は「×月収」の部分には上限があるとか(上海の場合は、上海全体の平均月収の3倍が上限らしいので、例えば月収10万元とかの人の場合、「働いた年数×10万」とはならない。)、「×月収」は普通の月々の額面の給料ではなく、ボーナス込みの年収を12で割った実質の数字だとか(残業代が含まれるかとかは聞かなかった)、まぁまぁややこしくて、多くの人はそういう細かい事は知らなかったりするんだけど(私にこの計算方法を説明してくれた人事が、「ここの部分を説明する時、みんな知らないから毎回すごいめんどくさい」って愚痴ってた)、ともかく「n+1」という言葉だけはみんな知ってて、この制度のお陰で、中国ではクビになる事は実は結構オトク(?)だったりする。
日本で似てるのは、失業保険かなぁ。でももっと労働者有利だと思う。普通は一括支払いで翌月とかに支払われるし、「n×月収」の部分は税金も引かれない。(給料ではないから、という理屈かなと思う)
先に例を上げた会社の友達は、その後実際に自分もリストラされて、「20万元手に入れた〜」と喜んで報告してくれたぐらいだ。(苦笑)
他の例だと、去年某Tikto◯で大掛かりなリストラがあった時(リストラされた人、多分だけど少なくとも何百人のレベル)、なんでも全員にn+5の賠償が出たそうで(5は、ボーナスの4を含んでの5。ボーナスについては後述)、うちの会社でも相当話題になった。当然、羨ましいという意味で!
もうその会社で仕事に対してモチベーションがない場合、自分から辞めるとこの賠償を何も貰えないので、意図的にサボってクビになるのを待ってる人も、多分中国ではたくさんいるわけだ・・・。
以前は私もこういう事情を理解してなかったので、なんで仕事中に見えるところで明らかにサボる人がいるのが謎だったんだけど、今ならこの気持ちがよく分かる。
なんだろうなぁ、労働者保護という意味では素晴らしいんだけど、やる気がなくなったら絶対にみんなサボり始めるだろうから、もっと全体的に考えるなら、ねぇ・・・。

最近はうちのプロジェクトも相当ぐちゃぐちゃになってたので(話すとどこまでも長くなるので割愛。。(-_-))、親しい同僚とは「こんなの無理だよね。クビにしてくれたら最高なのに」とちょくちょく話したりしていた。

話は変わるが、うちの会社のボーナスは年に1回春節前の時期に出る。中国はそのパターンが割と多い。そして、うちの会社の場合、ボーナスの標準額が額面の4ヶ月分とかなり大きいので、春節前に会社を辞める人はほぼいない。私も、とにかくボーナスまでは頑張って、本格的に辞める(もしくはリストラ対象になるような行動を取る)のは春節後からと心に決めて頑張っていた。

ここで、クビになる時のもう一つの可能性の説明をしたい。それが「旷工」というやつで、これは辞書での日本語訳だと「サボり」「ズル休み」ぐらいの割と軽い説明なんだけど、実は中国ではすごく重い意味を持つ。この扱いになると、「リストラ」ではなく、完全なる「クビ」になる。
普通の「开除」で話し言葉で使う時は、「クビ」も「リストラ」も含んでいて、一般的な状況では上記のような結構な賠償が出るし、前述したようなまぁまぁオトクな面もある。
でも「旷工」と見なされた場合の开除は、n+1を貰えず、賠償無しで会社から追い出される。まさに、本物の、完全なる、クビである。
なので、リストラされる事を共に目指していた親しい同僚(書くとひどいw)には、「絶対に旷工と見なされないように、タイムカードを切る時は必ず証拠写真を撮りつつ春節まで引っ張れ」とアドバイスされていた。
他にも、「強制残業と言われたら、仕事がなくても会社にいろ。仕事がなかったら、毎日リーダーに自分から聞け。絶対に自分から脱落するな。契約書を隅から隅まで読んで、後からツッコまれそうなミスは絶対にするな」とくどいほど言われていた。・・・「だが仕事の成果は出さなくていい、そんなのはどうでもいい」んだそうだww
他の友達数人にも相談していたが、「リストラの書類作成の時はこういう文言がないか気をつけろ」「保証を出さない悪質な会社はある。とにかく契約書に書いてあることを全部守れ。絶対にミスするな」などなどたくさんアドバイスを頂きつつ働いていたのが1月。

・・・なんか、さすが中国って感じがするよね。中国のダークサイドだよ。黒いわ。私みたいな直情型の喧嘩上等人間には、こういう狐と狸の騙し合いみたいな、どちらが音を上げるか我慢比べみたいな状況はすごい辛くて、ここ最近はなかなかのストレスだった。(最近あまりブログを書いてなかった理由になっただろうか?w)

日本だとこんな状況はあるのかなぁ。。多分窓際に追いやられて飼い殺し的な感じなのかなぁ。もしかしたら、労働者保護がもっときつくて会社的にどうにもできないのかもしれない。
どちらが先に根負けするかの消耗戦である。いやまじで、精神めっちゃ削られたよ。
正直いつまでこれが続くかビビっていたんだけど、そんな感じで先週末に無事(?)リストラされる事になった次第です。
その方向に向かってるのは分かっていたし、「実際にあなたクビですと言われたらどんな気持ちになるだろう??望んでる事とはいえ実際は辛いかもなぁ」と想像してみたりもしてたけど、やっぱりすぐに「わーいやったぁ!ありがとう上司!」という気持ちにはなれなかった。
目指してた落とし所なんだから、私にとってはある意味勝利なはずなのに、何故か怒りが湧いたり不愉快になったりして、気持ちのコントロールがなかなか難しかった。
この辺、日本人の価値観が邪魔してる感じもするけど、普通の中国人なら手放しで喜べるのかなぁ・・・。わからん。
その後、具体的な交渉に入ったんだけど、人事が提示してきた細かい条件(n+1 以外の部分)が何だか損に思えたり、会社に騙されるんじゃないかと心配になったり、もっと引き伸ばして交渉をするべきかどうかを友人達に相談したりして、先週末は本当に頭がパンクしそうだった。
そういう事まで相談できる中国人の友人がいて本当に良かったと思う。

長くなったので引き上げの準備についてはまた次回。